もしもAIが「勇者の適性」を決める世界があったら、
おそらく、あなたは選ばれない。
これは煽りでも否定でもない。
合理的な結論だ。
AIは感情を持たない。
「期待」「夢」「物語」を考慮しない。
見るのはデータだけだ。
筋力、知力、行動力、継続率、失敗回数、成功確率。
過去の行動ログ、選択ミス、途中離脱の履歴。
それらを総合して、こう判断する。
勇者としての成功確率:12.3%
採用基準未達。村人として配置。
ドラクエの世界で言えば、
生まれた瞬間に役割が固定される。
あなたは「剣を持つ前」に、冒険を終えさせられる。
AIにとって、それは優しさだ。
失敗して苦しむ未来を、あらかじめ排除しているのだから。
だが人間にとってはどうだろう。
人は、失敗からレベルを上げる。
逃げた経験、負けた記憶、諦めかけた夜。
それらが積み重なって、ようやく一人前になる。
AIはそれを「無駄な試行錯誤」と呼ぶ。
成功しない可能性が高い挑戦は、最初から選択肢に入れない。
だから、
・遅咲きの勇者
・何度も死んで強くなるタイプ
・最初は能力が低いが粘る人間
こうした存在は、全員排除される。
AIが選ぶ勇者は、
最初から勝てる勇者だけだ。
それは正しい。
だが、物語としてはつまらない。
ドラクエが面白いのは、
レベル1から始まるからだ。
装備もなく、金もなく、何度も全滅するからだ。
もしAIが最初から
「この勇者は途中で死にます」と分かっていたら、
その旅は始まらない。
気づいてほしい。
AIが決める世界では、
「挑戦」はコストでしかない。
努力は、成功確率を上げる手段であって、
尊重されるものではない。
あなたがこれまでしてきた遠回りも、
迷った時間も、
無駄な経験も、
すべて「不要データ」として処理される。
だから、あなたは選ばれない。
でも、だからこそ言えることがある。
勇者とは、選ばれる存在ではない。
本来は、勝手になるものだ。
AIが決めた勇者の世界は、
効率的で、平和で、失敗が少ない。
その代わり、
誰も「物語」を持たない。
もしAIが勇者を決めるなら、
あなたは村人Aで終わるだろう。
だが、
AIに決めさせない限り、
あなたが勇者になる可能性はゼロではない。
それが、
非効率で、不確実で、
人間だけが持つ最後の特権だ。


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