RPGの職業といえば、勇者、戦士、魔法使い、僧侶、武闘家などが思い浮かぶ。
強い職業には人気が集まりやすい。
攻撃力が高い。
強力な呪文を覚える。
回復も攻撃もできる。
しかし、AIに新しい職業を100種類考えさせるとしたら、私は「最強の職業」だけを選ぶのは少しもったいないと思う。
そこで今回は発想を変えてみた。
最強ではなく、実際にゲームに登場したら一番面白そうな職業は何か。
AIが作ったという設定で100種類の職業を考え、その中から特に気になった職業を絞り込んでみる。
※この記事は既存作品の公式設定ではなく、RPGの職業システムを題材にしたAIによる架空の思考実験である。
まず100種類の職業を作ってみる
100種類すべてを戦闘職にすると似たようなものが増えてしまう。
そこで今回は、戦闘だけでなく、冒険、町、商売、魔物、生活まで対象にする。
例えばこんな職業だ。
魔物医師。
ダンジョン清掃員。
旅料理人。
呪文修理士。
モンスター通訳士。
宝箱鑑定士。
逃走専門家。
王様代理人。
スライム飼育士。
橋建設士。
幽霊相談員。
魔王城案内人。
勇者保険屋。
薬草研究家。
宿屋調査員。
迷子冒険者捜索員。
壊れた武器だけを直す修理職人。
戦闘後の荒れた町を復旧する復興士。
こうした職業を含めて100種類まで増やす。
ここで重要なのは、攻撃力だけで評価しないことだ。
むしろ、
「そんな職業、何に使うんだ?」
と思うくらいのほうが面白い。
最強候補なら「魔物医師」が強そう
100種類の中で最初に気になったのが魔物医師だった。
人間ではなく魔物を治療する専門職だ。
例えば草原を歩いていると、傷ついた小さな魔物が倒れている。
普通のRPGなら戦闘になる。
しかし魔物医師なら選択肢が変わる。
「たたかう」
ではなく、
「診察する」
が表示される。
治療すると、その魔物は去っていく。
経験値もゴールドも入らない。
一見すると損だ。
ところが50時間後、魔王城へ向かう途中で魔物の大群に囲まれる。
そこへ昔助けた魔物が現れる。
戦うのではなく、安全な道を教えてくれる。
これは面白い。
戦闘で勝つ以外の方法で世界との関係を変えられるからだ。
ただ、魔物医師を強くしすぎると「魔物を治療して仲間にする職業」になってしまう。
今回は最強ではなく面白さを探したい。
そこでさらに候補を見る。
「逃走専門家」は弱いのに使いたくなる
次に気になったのが逃走専門家だ。
名前の通り、逃げることに特化している。
攻撃力は低い。
強力な呪文も覚えない。
ボス戦ではほとんど役に立たない。
しかし逃走成功率だけは異常に高い。
通常の冒険者が危険な洞窟に入れば、
「あと少し進むか」
「ここで戻るか」
と悩む。
逃走専門家がいると、その判断が変わる。
危なくなったら逃げればいい。
そのため通常より大胆に探索できる。
宝箱を取りに行く。
強そうな敵のいる場所へ入る。
未知の階段を降りる。
弱い職業なのに、パーティー全体の行動を大胆にする。
こういう職業はかなり面白い。
「勇者保険屋」という謎の職業
さらにAIらしい職業として考えたのが、勇者保険屋だ。
戦闘能力はほぼゼロ。
その代わり、冒険前にさまざまな保険を販売する。
全滅保険。
装備紛失保険。
毒治療保険。
宿泊保険。
魔王城突入保険。
例えば1000ゴールド払って全滅保険に加入すると、全滅しても所持金が減らない。
当然、保険屋も商売なので、何度も利用すると料金が上がる。
危険な地域へ行くほど保険料も高くなる。
勇者が強くなりすぎれば、
「あなたなら死なないでしょう」
と料金が安くなるかもしれない。
逆にレベル3で危険な洞窟へ行こうとすると、
「危険すぎます」
と加入を断られる。
もはやRPGなのか経営ゲームなのか分からない。
だが、私はこういう職業が好きだ。
「旅料理人」は仲間の日常を変える
戦闘とは直接関係ないが、旅料理人も面白い。
倒した魔物を料理するという意味ではない。
町や村で食材を買い、キャンプで料理を作る。
普通の料理ならHPが少し回復する。
しかし重要なのは能力ではない。
料理を囲んで仲間が会話することだ。
戦士ガルドは肉料理が好き。
魔法使いセリアは辛い料理が苦手。
僧侶ミレナは甘いものが好き。
無口だった仲間も、好きな料理が出ると少し話す。
100回料理すると仲間同士の関係が変化する。
セリアとガルドが仲良くなる。
ミレナが料理を手伝う。
場合によっては恋愛に発展する。
冒険の途中で告白することもある。
長い旅の末、二人が初めてキスをするイベントが発生してもいい。
料理人は世界を救わない。
しかし、仲間を「戦闘用キャラクター」から「一緒に旅をしている人間」に変える。
この役割はかなり大きい。
雑魚敵専門の「魔物通訳士」
もう一つ残したいのが魔物通訳士だ。
通常なら、
スライムが現れた。
ゴブリンが現れた。
戦う。
倒す。
次へ進む。
これで終わる。
ところが魔物通訳士がいると、雑魚敵の言葉が分かる。
草原にいた一匹の魔物が、
「今日は戦いたくない」
と言っているかもしれない。
別の魔物は、
「東の森には行かないほうがいい」
と教えてくれる。
さらに別の魔物は、
「娘が帰ってこない」
と頼んでくる。
こうなると雑魚敵がNPCになる。
名前すらなかった魔物に名前がつく。
例えば最初の草原にいる小さな魔物をブルムと名付ける。
ブルムを倒さず話を聞く。
20時間後に同じ場所へ行く。
ブルムには家族ができている。
さらに30年後の世界を描けば、ブルムの子孫が人間の町で働いているかもしれない。
魔物通訳士一人を追加するだけで、世界観そのものが変わってしまう。
最後まで残ったのは「記憶記録士」
そして100種類を考えた中で、私が一番面白いと思ったのは、意外にも戦闘能力ゼロの職業だった。
名前は記憶記録士。
この職業は、旅の出来事を記録する。
ただの日記係ではない。
勇者が誰と会ったか。
どの村を救ったか。
誰を助けなかったか。
どの魔物を倒したか。
どの宿屋に何回泊まったか。
誰と仲良くなったか。
すべて記録する。
そして、その記録が未来の世界に残る。
1000年後に冒険が歴史になる
例えば勇者レオンが、小さな村で少女リナを助けたとする。
普通なら小さなイベントで終わる。
しかし記憶記録士が記録していたらどうなるだろう。
100年後。
「勇者レオンがリナを救った場所」
として石碑が建つ。
300年後。
その村が町になる。
500年後。
出来事が学校の教材になる。
そして1000年後。
勇者の物語は歴史になる。
ところが記録には、こんなことまで残っている。
「勇者レオンは魔王討伐へ向かう前夜、道具屋の娘ミアと海辺を歩いた」
さらに、
「二人はそこで初めてキスをした」
という個人的な出来事まで記録されていたらどうなるのか。
1000年後の研究者が、
「勇者レオンとミアは恋人だったのか?」
と議論するかもしれない。
たった一つの脇役イベントが、歴史研究の対象になる。
これは面白い。
最強ではないから世界が広がる
記憶記録士は、ボス戦ではほぼ役に立たない。
攻撃力も低い。
回復呪文も使えない。
最強職ランキングを作れば、おそらく下位になる。
しかし「この職業が存在するとゲーム世界がどれだけ変わるか」で考えると、一気に上位に来る。
勇者だけではない。
村人。
宿屋の主人。
道具屋の娘。
城門の兵士。
名もなき雑魚敵。
魔王軍の下級兵士。
彼らの人生まで記録される。
すると、ゲーム世界に「時間」が生まれる。
AIで職業を作るなら強さだけではもったいない
AIに100種類の新職業を考えさせるなら、最強職を作るのは簡単だ。
全呪文が使える。
攻撃力も高い。
回復もできる。
そんな職業を作れば強い。
しかし、それだけでは世界はあまり変わらない。
魔物医師がいれば、敵との関係が変わる。
逃走専門家がいれば、冒険の判断が変わる。
勇者保険屋がいれば、お金の使い方が変わる。
旅料理人がいれば、仲間との関係が変わる。
魔物通訳士がいれば、雑魚敵にも人生が生まれる。
そして記憶記録士がいれば、冒険そのものが1000年後の歴史になる。
私が100種類の中から選ぶなら、一番面白い職業は「記憶記録士」だ。
最強ではない。
むしろ戦闘では弱い。
それでも、この職業を一人仲間に入れるだけで、勇者の冒険、脇役の人生、魔物との出会い、恋愛、そして世界の未来までつながっていく。
AIでRPGを再設計する面白さは、強いキャラクターを作ることだけではない。
これまで背景にしか見えなかった存在に、名前と人生と歴史を与えること。
そこまで作り込めたとき、AIが考える新しいRPGの世界は、もっと面白くなると思う。


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