『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』に登場する破壊神シドー。
その存在を一言で表すなら、「破壊」だろう。
勇者たちと対話し、互いの正義について語り合うような存在ではない。世界にとって圧倒的な脅威として立ちはだかる。
では、もしそんなシドーに人間と同じような感情が芽生えたらどうなるのか。
怒りだけではない。
喜び。
悲しみ。
恐怖。
寂しさ。
そして、誰かを大切に思う気持ち。
破壊するために現れた存在が「生きたい」と思うようになったとき、『DQ2』の物語そのものが変わってしまうかもしれない。
今回はAIを使ったIF考察として、そんな別世界線を想像してみたい。
破壊神シドーが目覚める
物語は、ローレシアの王子たちがハーゴンのもとへたどり着く少し前から始まる。
静寂の中に、一つの意識があった。
シドーだ。
まだ完全にこちら側の世界へ姿を現してはいない。
しかし、その意識は少しずつ目覚めていた。
本来なら、そこに迷いなど存在しなかったのかもしれない。
破壊する。
滅ぼす。
それだけでいい。
ところが、この世界線のシドーには奇妙な変化が起きていた。
自分でも理解できない何かを感じる。
最初に生まれた感情は――
恐怖だった。
「私は消えるのか?」
シドーは初めて、自分自身について考えた。
なぜ自分は呼ばれるのか。
なぜ世界を破壊しなければならないのか。
そして世界をすべて破壊したあと、自分はどうなるのか。
これまでなら必要のなかった疑問だ。
しかし感情を持った瞬間から、
「自分」
という存在が生まれてしまう。
自分が存在する。
ならば、自分が消える可能性もある。
シドーは初めて死を恐れた。
破壊神が、破壊されることを恐れ始めたのだ。
ハーゴンへの疑問
次にシドーの中に生まれたのは疑問だった。
ハーゴンは自分を求めている。
だが、本当に自分自身を必要としているのだろうか。
それとも単なる「破壊の道具」として呼ぼうとしているだけなのか。
シドーはハーゴンの祈りを感じながら考える。
「この者は、私を見ているのか?」
名前を呼ぶ。
神として崇める。
しかし、その向こうにいる一つの存在については考えていない。
シドーはそこで、生まれて初めて寂しさに近いものを感じる。
自分は神として求められている。
しかし、自分自身を求められているわけではない。
この違いを理解した瞬間、破壊神の心に小さな亀裂が入った。
ローレシアの王子たちがやってくる
やがて三人の勇者が近づいてくる。
ローレシアの王子。
サマルトリアの王子。
ムーンブルクの王女。
シドーは彼らの存在を感じていた。
なぜ、この三人はここまで来るのか。
怖くないのか。
死ぬかもしれない。
それでも前へ進んでくる。
シドーには理解できなかった。
ハーゴンは彼らを敵と呼ぶ。
だがシドーは、初めて人間に興味を持った。
「なぜ逃げない?」
その疑問が、シドーをさらに変えていく。
人間は弱いのに戦う
シドーから見れば、人間はあまりにも弱い。
傷つく。
疲れる。
眠らなければならない。
一人ではできないことも多い。
それなのに三人は助け合って進んでくる。
誰かが傷つけば、別の誰かが守る。
危険な場所でも仲間を置いて逃げない。
シドーには、その行動が理解できない。
効率だけを考えれば、弱い者を置いていけばいい。
ところが人間はそうしない。
シドーは初めて、
「仲間とは何だ?」
と考える。
その瞬間、破壊以外の概念が心の中へ入ってくる。
そして運命の瞬間
ついにローレシアの王子たちはハーゴンの前へ到達する。
激しい戦いが始まる。
そして本来の物語と同じように、シドーが姿を現す時が来る。
巨大な破壊神。
三人の勇者は武器を構える。
だが、この世界線では一つだけ違った。
シドーがすぐに襲いかからない。
ローレシアの王子は警戒する。
サマルトリアの王子も動かない。
ムーンブルクの王女はシドーを見上げる。
そしてシドーは、人間に向かって初めて意思を示す。
「なぜ、お前たちはここまで来た?」
三人は驚くだろう。
破壊神が問いかけてきたからだ。
ムーンブルクの王女が答える
最初に答えたのはムーンブルクの王女だった。
彼女は故郷を失っている。
破壊によって人生を変えられた人物だ。
だからこそ、シドーにとって最も理解しにくい言葉を口にする。
「これ以上、誰かが大切なものを失わないため」
シドーには分からない。
自分のためではない。
他人のために命を危険にさらしている。
「なぜだ?」
シドーは再び問う。
王女は答える。
「大切だから」
その短い答えが、シドーの心に残った。
シドーが初めて知る「悲しみ」
シドーは、自分が破壊した未来を想像する。
町が消える。
人が消える。
子どもも老人も消える。
そして、生き残った者が悲しむ。
以前なら何も感じなかった光景だ。
ところが今は違う。
ムーンブルクの王女の言葉を理解してしまった。
誰かを失えば悲しい。
自分が世界を滅ぼせば、その悲しみを無数に生み出すことになる。
そこでシドーは初めて知る。
罪悪感。
まだ何もしていない。
それなのに、自分がこれから行うはずだった破壊を恐ろしく感じる。
破壊神にとって、これほど残酷な感情はないだろう。
「私は何のために生まれた?」
シドーは苦しむ。
破壊しないなら、自分は何者なのか。
破壊神が破壊を拒否したら、存在する意味はあるのか。
これは人間にも通じる問いかもしれない。
生まれた環境。
与えられた役割。
周囲から期待された人生。
それらを拒否したとき、
「では自分は何者なのか」
という問題が残る。
シドーは初めて、自分自身の生き方を選ばなければならなくなった。
ローレシアの王子の選択
ローレシアの王子は剣を構えている。
目の前にいるのは、本来なら倒すべき破壊神だ。
ここで倒せば世界は救われるかもしれない。
しかしシドーは攻撃してこない。
倒すべきなのか。
信じるべきなのか。
勇者側にも究極の選択が生まれる。
そして王子は、ゆっくり剣を下ろす。
完全に信用したわけではない。
ただ、戦わない相手を先に斬ることを選ばなかった。
この行動を見て、シドーはさらに理解する。
人間には、
「信じる」
という行動があることを。
破壊神ではなく「シドー」へ
この瞬間からシドーは変わる。
破壊神シドー。
それは役割だった。
しかし「シドー」という一つの存在には、別の未来があってもいい。
世界を破壊する力を持っているなら、その力を守るために使うこともできるかもしれない。
もちろん、人間たちは簡単には受け入れないだろう。
巨大な破壊神が町へ現れれば誰だって逃げる。
過去の恐怖も消えない。
それでもシドーは、人間について知ろうとする。
嬉しいとは何か。
友達とは何か。
誰かを守りたいと思う気持ちとは何か。
破壊することしか知らなかった存在にとって、それは世界を一から学び直す旅になる。
感情を持ったシドーは弱くなるのか
興味深いのは、感情を持つことでシドーが弱くなるとは限らないことだ。
守りたいものができる。
失いたくないものができる。
そのとき初めて、シドーは自分の意思で力を使う。
命令されたから戦うのではない。
破壊するために生まれたからでもない。
自分が守りたいから戦う。
もしそんなシドーが誕生したなら、単なる破壊神だった頃より精神的には強い存在になるかもしれない。
AIが考えるもう一つのシドー
もしシドーに人間の感情が芽生えたら。
最初に待っているのは幸福ではないと思う。
恐怖。
孤独。
悲しみ。
罪悪感。
感情を知るということは、苦しみを知ることでもある。
しかし同時に、
友情。
信頼。
希望。
誰かを大切にする気持ち。
そうしたものも知ることができる。
そして最後には、破壊神として与えられた運命そのものに逆らうかもしれない。
世界を滅ぼすために現れた神が、世界を守る側へ回る。
もしそんな別世界線が存在したなら――。
ローレシアの王子、サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女に、思いもよらない「第四の仲間」が加わることになる。
その名はシドー。
世界を滅ぼすはずだった破壊神が、人間の心を知るために歩き始める。
それは魔王討伐よりも長い、シドー自身の冒険になるのかもしれない。


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