ばくだんいわ|メガンテを使うタイミングをAIに判断させたら?

AIゲームシステム再設計

『ドラゴンクエスト』シリーズには、一度見たら忘れにくいモンスターがいる。

その代表格の一つが「ばくだんいわ」だ。

岩のような姿でじっとしている。

それほど積極的に攻撃してこないこともある。

「意外と大丈夫そうだ」

そう思って戦っていると、突然「メガンテ」。

ばくだんいわの怖さは、単純な攻撃力だけではない。

いつメガンテを使うのか分からない怖さにある。

では、このメガンテを使うタイミングを高度なAIが判断するようになったらどうなるだろう。

今回は「ばくだんいわ×AI」という少し変わったテーマから、RPGにおける敵AIと戦闘システムについて考えてみたい。

そもそもメガンテの怖さは何なのか

メガンテは特殊な呪文だ。

普通の攻撃呪文とは性質が違う。

メラやギラのように、ダメージを与えて次のターンも戦うという発想ではない。

使用する側にも大きな代償がある。

つまり、ばくだんいわ側から考えれば究極の一回勝負ともいえる。

普通の敵AIなら、

攻撃する。

様子を見る。

特技を使う。

そして一定条件になるとメガンテを使う。

この程度でも十分怖い。

しかしAIがプレイヤー側の状況まで細かく分析するようになったら、一気に話が変わる。

AIばくだんいわは何を見るのか

高度なAIを搭載したばくだんいわなら、単純に自分のHPだけを見て行動する必要はない。

例えば、

勇者の残りHP。

パーティー人数。

回復役のMP。

蘇生手段の有無。

味方のばくだんいわの数。

プレイヤーが選択した行動。

戦闘開始からのターン数。

こうした情報を分析できる。

さらに高度なシステムなら、過去の戦闘履歴まで使える。

このプレイヤーはHPが減ったらすぐ回復する。

このプレイヤーは攻撃を優先する。

ばくだんいわを見ると最初に集中攻撃する。

危険を感じると逃げる。

AIがそこまで学習すると、メガンテは単なるランダム行動ではなくなる。

プレイヤーが最も嫌がる瞬間を狙って使われる技になる。

HPが減ったら使う、では単純すぎる

まず思いつくAIは、

「自分のHPが20%以下になったらメガンテ」

というものだろう。

これは分かりやすい。

もうすぐ倒される。

普通に攻撃しても勝てない。

それなら最後にメガンテを使う。

合理的ではある。

しかし、このAIは簡単に攻略される。

プレイヤーは、

「HPを減らしたら危険だ」

と学習するからだ。

そして最後は一気に大ダメージを与えて倒す。

パターンさえ分かれば怖くなくなる。

AIを導入するなら、もっと判断に幅を持たせたい。

AIなら「期待値」でメガンテを判断する

AI的に面白いのは、メガンテを使った場合と使わなかった場合の結果を比較させる方法だ。

例えば現在、

ばくだんいわのHPは40%。

勇者はHP70%。

僧侶はHP30%。

魔法使いはHP20%。

この状況ならどうするか。

普通に攻撃すれば、一人にしかダメージを与えられないかもしれない。

しかしメガンテなら、パーティー全体に重大な影響を与えられる可能性がある。

AIは、

通常行動を続けた場合の勝率

と、

今メガンテを使った場合の勝率

を比較する。

メガンテのほうが敵側の勝利につながると判断すれば実行する。

こうすると、ばくだんいわが急に戦術的なモンスターになる。

回復役を見て判断するばくだんいわ

さらに嫌なのが、回復役を認識するAIだ。

例えばパーティーに僧侶がいる。

僧侶のMPが十分にある。

この状態なら、メガンテを使って大きな被害を与えても立て直される可能性がある。

AIは、

「まだ使うべきではない」

と判断する。

そこで通常攻撃などを続け、僧侶に回復呪文を使わせる。

MPを消費させる。

そして回復手段が少なくなった瞬間、

メガンテ。

プレイヤーからすると非常に厄介だ。

単純なHP管理だけでは勝てなくなる。

敵がこちらのリソース消費まで考えているからだ。

複数のばくだんいわがいたらさらに怖い

ばくだんいわが1体だけなら、まだ対処しやすい。

しかし3体いたらどうだろう。

さらに、その3体がAIで連携していたら?

これがかなり面白い。

例えばAは通常攻撃。

Bは待機。

Cがメガンテ。

プレイヤーが回復した次のターンにBがメガンテ。

残ったAは状況を見て攻撃する。

全員が同じターンにメガンテを使う必要はない。

むしろAIなら、

メガンテを時間差で使ったほうが効果的

と判断する可能性がある。

敵同士が連携するだけで、同じモンスターでも戦闘の難易度は大きく変わる。

プレイヤーの性格まで学習したら?

さらに一段進めて、AIがプレイヤーの行動パターンを学習するとする。

例えば10回の戦闘を分析した結果、

「このプレイヤーは仲間のHPが半分になるまで回復しない」

とAIが理解したとする。

するとばくだんいわは、その瞬間を待つ。

逆に、

「このプレイヤーは少しでもHPが減ると回復する」

と判断したら、別の戦略を選ぶ。

こうなると同じゲームを遊んでも、人によってばくだんいわの行動が変わる。

慎重なプレイヤーには慎重なばくだんいわ。

攻撃的なプレイヤーには、その隙を狙うばくだんいわ。

敵AIがプレイヤーに適応するRPGになる。

ただしAIが賢すぎると面白くない

ここでゲーム設計上の大問題が出てくる。

敵は賢ければ賢いほど面白いのか?

答えは、おそらく「違う」。

AIが常に最適なタイミングでメガンテを使ったら、プレイヤーは理不尽に感じる可能性がある。

こちらのHP。

MP。

装備。

行動。

すべてを敵が知っている。

そして最悪の瞬間だけを狙う。

これでは「頭のいい敵」というより、ゲーム側がプレイヤーの情報を使って嫌がらせをしているように感じる。

RPGでは、敵AIにもわざと弱点を作ることが重要になる。

AIに「迷い」を入れる

そこで面白いのが、AIに確率的な判断をさせることだ。

AIが、

「今がメガンテの最適タイミング」

と判断したとする。

それでも100%実行するわけではない。

例えば実行率を70%にする。

残り30%では通常攻撃や様子見をする。

するとプレイヤーからは完全には読めない。

でも完全なランダムでもない。

賢さと予測不能性の中間になる。

これはゲームAIでは重要な考え方だ。

人間同士の対戦でも、常に完璧な行動をするわけではない。

迷う。

読み違える。

あえて違う選択をする。

AIばくだんいわにも、この「不完全さ」を入れたほうが面白いかもしれない。

メガンテ前に予兆を出す

もう一つ重要なのが、プレイヤーに対抗手段を与えることだ。

例えばAIがメガンテを使おうと判断したターン。

ばくだんいわの表情が変わる。

体に亀裂が入る。

小刻みに震える。

周囲が光る。

こうした予兆を出す。

プレイヤーは、

「次が危ない」

と気づける。

そこで、

防御する。

逃げる。

一気に倒す。

耐性装備へ切り替える。

対策を選べる。

AIが強くても、プレイヤー側に情報が与えられていれば「理不尽」ではなく「読み合い」になる。

AIで難易度ごとに性格を変える

AIばくだんいわは難易度調整にも使える。

「やさしい」では、HPがかなり減るまでメガンテを使わない。

「普通」では、HPとパーティー状態を見て判断する。

「難しい」では、回復役のMPやプレイヤーの行動傾向まで分析する。

最高難易度では、複数のばくだんいわが連携する。

こうすれば単純に敵のHPや攻撃力を増やさなくても難しくできる。

これはAIゲーム設計の大きな可能性だ。

数字ではなく、判断力によって難易度を変える。

同じばくだんいわでも、まったく違う敵に感じられるだろう。

ばくだんいわはAIと相性がいいモンスター

考えてみると、ばくだんいわはAI戦闘システムを試すのに非常に面白いモンスターだ。

行動の種類を大量に増やす必要はない。

重要なのは一つ。

「いつメガンテを使うか」

だからだ。

通常攻撃。

待機。

メガンテ。

選択肢が少なくても、タイミングの判断を高度化するだけで戦闘は大きく変わる。

これはゲーム設計として興味深い。

キャラクターの技を100種類作らなくても、AIの判断を変えることで戦闘を深くできるからだ。

まとめ|最強のAIは「絶対に最適行動をしないAI」かもしれない

もし、ばくだんいわがAIによってメガンテを使うタイミングを判断するようになったら。

HPだけを見る単純な敵ではなくなる。

勇者たちの残りHPを見る。

回復役のMPを見る。

プレイヤーの行動パターンを学習する。

仲間のばくだんいわと連携する。

そして最も効果的な瞬間を探す。

かなり恐ろしい敵になるだろう。

しかしゲームとして考えるなら、完璧すぎるAIは逆に面白くない。

重要なのは、

「賢いけれど読める」

ことだ。

ときどき判断を間違える。

メガンテの前には予兆がある。

プレイヤーにも対策する時間がある。

その上でAIがこちらの行動を読んでくる。

このバランスなら、ばくだんいわとの戦闘は単なる運試しから「敵AIとの読み合い」に変わる。

そしてこれは、ばくだんいわだけの話ではない。

スライム。

キラーマシン。

ミミック。

魔王。

すべての敵が「何を使うか」だけでなく、「なぜ今それを使うのか」まで判断するRPGになったら、ドラクエ型のコマンドバトルにはまだ大きな進化の余地がある。

ばくだんいわのメガンテ。

昔からあるたった一つの危険な呪文でも、AIに「タイミングを考える能力」を与えるだけで、まったく新しい戦闘システムに生まれ変わる可能性があるのだ。

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