『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を遊んだことがある人なら、「ピエール」に思い入れがある人も多いのではないだろうか。
スライムナイトの仲間モンスターとして登場し、長い冒険を支えてくれる存在だ。
攻撃もできる。
装備もできる。
回復にも参加できる。
そして何より、一緒に冒険している期間が長くなりやすい。
そんなピエールを見ていて、私は一つのAI実験を思いついた。
「もしピエールを、人間の勇者と肩を並べる存在まで育成するとしたら、AIはどんな成長ルートを作るのだろう?」
ただし、単純に能力値を上げて「最強のピエール完成!」では面白くない。
今回はAIへどんな指示を出せば、ピエールらしさを残しながら「勇者級」へ成長させられるのか。
実際に使えるプロンプトの考え方を、制作ログとしてまとめてみたい。
最初にやったのは「最強にして」だった
AIを使い始めたころなら、私は単純にこう入力していたと思う。
ピエールを最強の勇者にしてください。
簡単だ。
AIも何かしら答えてくれる。
攻撃力を上げる。
守備力を上げる。
強力な呪文を覚えさせる。
伝説級の武器を持たせる。
特殊能力を追加する。
これだけなら、すぐに「最強キャラクター」が完成する。
しかし、ここで問題が出てくる。
それは本当にピエールなのか?
強くしすぎるとキャラクターが消える
例えばAIに制限を与えず、
「勇者より強くして」
と指示する。
すると極端な回答になりやすい。
最強クラスの攻撃。
最強クラスの魔法。
鉄壁の守備。
高速行動。
万能回復。
何でもできる。
確かに強い。
でも、そんなキャラクターを作ってしまったら、もはやピエールを育てる意味が薄くなる。
名前だけピエールで、中身はAIが作った万能戦士になってしまうからだ。
ここで私は、
「AI育成では能力を追加することより、何を追加しないかのほうが重要なのでは?」
と考えた。
今回の目標は「勇者を超える」ではない
そこで目標を変更する。
「世界最強のキャラクターにする」
ではなく、
「人間の勇者と同じパーティーに入っても、主力として対等に戦えるところまで成長させる」
とした。
これなら少し違う。
勇者を100としたら、ピエールも100。
120や200にする必要はない。
得意分野も違っていい。
勇者が攻撃力で勝つなら、ピエールは守備や回復で勝ってもいい。
重要なのは総合的な貢献度で肩を並べることだ。
AIに「強さ」を定義させる
次に必要なのが、
そもそも勇者級とは何なのか
という定義だった。
単純な攻撃力だけではない。
そこでAIに評価軸を与える。
例えば、
攻撃能力。
防御能力。
回復能力。
継戦能力。
状況判断。
成長性。
装備適性。
仲間との連携。
強敵への対応力。
このように分解する。
するとAIは、
「攻撃力が一番高い=最強」
という単純な回答から離れやすくなる。
これはAI記事を作るときにも結構重要だと思う。
ピエールの長所を最初に固定する
さらにプロンプトへ条件を追加する。
ピエールの長所を消してはいけない。
例えば私なら、
「万能戦士型」
「安定感がある」
「攻撃だけに偏らない」
「回復もできる」
「長期間パーティーを支えられる」
という方向性を残す。
つまり、ピエールを沢北栄治のような超得点型――ではなく、何でも一定以上こなせる万能タイプとして育てるイメージだ。
AIには、
「既存の長所を伸ばす方向で成長させること」
と明示する。
これだけでも回答の質がかなり変わる。
弱点も残す
ここが今回のプロンプトで特に重要なところだった。
強くするのだから弱点を全部なくしたくなる。
でも、それをやると面白くない。
だから、
「最低でも2つは明確な弱点を残す」
という条件を設定する。
例えば、
爆発的な瞬間火力では勇者に負ける。
攻撃魔法の専門家にはならない。
素早さでは高速型キャラクターに負ける。
こうした弱点がある。
すると、
「じゃあピエールは何で勝負するのか?」
が明確になる。
ピエールの武器は「倒れにくさ」にする
私なら、勇者級ピエールの最大の武器を安定性にする。
一撃で敵を倒すタイプではない。
しかし簡単には倒れない。
攻撃できる。
回復できる。
守れる。
長期戦にも対応する。
仲間が危なくなったら役割を変更する。
つまり、
試合を決めるエースではなく、試合から消えない万能選手
のようなキャラクターだ。
これはスライムナイトという存在にも比較的似合う気がする。
成長を5段階に分けてみる
AIへ、
「勇者並みに成長させて」
と一気に頼むのではなく、成長過程を5段階に分ける。
第1段階:仲間になった直後
まだ普通のスライムナイト。
戦士として戦える。
回復も少しできる。
しかし人間の一流戦士には及ばない。
第2段階:実戦経験を積む
主人公たちとの旅で戦い方を学ぶ。
ただ攻撃するのではなく、味方を守ることを覚える。
第3段階:万能戦士化
攻撃・守備・回復を状況によって切り替えられるようになる。
このあたりから「便利な仲間」ではなく「主力」になる。
第4段階:勇者級へ接近
強敵との戦いでも崩れない。
味方が倒れても立て直せる。
単独能力よりチーム貢献が大きくなる。
第5段階:勇者と対等
最終的には、
「勇者とどちらをパーティーに入れる?」
と悩むレベルになる。
ただし役割は同じではない。
ここが重要だ。
AIには「理由」も書かせる
さらに私は、
「能力を上げてください」
だけではなく、
「なぜその能力が成長したのか、物語上の理由も説明してください」
という条件を入れたい。
例えば守備能力が大幅に伸びたなら、
「修行したから」
だけでは弱い。
仲間を守れなかった経験がある。
そこから防御技術を学ぶ。
何度も実戦で失敗する。
そして最終的に守備のスペシャリストになる。
こうした因果関係を作る。
すると単なるゲーム攻略のような数字ではなく、
成長物語
になる。
「人間になる」は禁止してみる
これは面白い制約になる。
ピエールを勇者級にするなら、
「最後は人間になります」
とAIが考える可能性もある。
でも、それではピエールを育てた意味がない。
そこで、
「最後までスライムナイトのままであること」
を条件にする。
人間にならない。
勇者の血筋にもならない。
突然、伝説の種族だったことにもしない。
普通のスライムナイトとして始まり、経験によって勇者級へ到達する。
このほうが私は面白い。
伝説の武器で解決するのも禁止
もう一つ禁止したい。
突然、
「神から授かった伝説の剣を装備した」
で最強になるパターンだ。
これも簡単すぎる。
もちろん装備による成長はあっていい。
しかし、
装備だけで勇者級になってはいけない
という条件を入れる。
本人の経験。
判断。
戦闘技術。
仲間との連携。
こうしたものを中心に成長させる。
そのほうが「育てる」というテーマに合う。
実際に使うならこんなプロンプト
ここまでの条件をまとめると、私ならAIへ次のような指示を出す。
『ドラゴンクエストV』に登場する仲間モンスター「ピエール」を、人間の一流勇者と同等の総合戦力まで成長させる架空の育成シミュレーションを作成してください。これは公式設定ではなく、AIによるIF考察です。
ピエールは最後までスライムナイトのままとし、人間化、勇者の血筋、突然の覚醒、万能化は禁止します。
攻撃・防御・回復・継戦能力・判断力・仲間との連携・成長性の7項目で評価してください。
ピエール本来の万能戦士型という特徴を残し、勇者を完全に上回るのではなく、異なる長所によって総合的に同等となる設計にしてください。
最低2つの弱点を最後まで残してください。
成長を5段階に分け、それぞれ「何を経験したか」「何を習得したか」「どの弱点を克服したか」「チーム内での役割がどう変化したか」を説明してください。
伝説級装備だけで強くするのではなく、経験・訓練・判断力・仲間との連携による成長を中心にしてください。
最後に、人間の勇者と比較して「ピエールが優れる部分」「勇者が優れる部分」「互角の部分」を整理してください。
これなら、かなり狙った回答を出しやすくなると思う。
プロンプトは長ければいいわけではない
ここまで細かく書くと、
「AIプロンプトって長いほどいいの?」
と思うかもしれない。
私はそうではないと思う。
重要なのは長さではなく、
AIに何を自由にさせ、何を禁止するか
だ。
今回なら、
自由にする部分は成長ルート。
固定する部分はピエールらしさ。
禁止する部分は万能化や突然の覚醒。
この境界を決める。
AI制作では、ここが結構面白い。
AIは「答えを出す機械」だけではない
今回やってみて感じるのは、AIを単に、
「記事を書いてくれる道具」
として使うだけではもったいないということだ。
自分で条件を考える。
AIへ渡す。
結果を見る。
「違うな」と思う。
条件を変える。
もう一度出す。
また比較する。
これは小さな実験に近い。
そして、その試行錯誤そのものが記事になる。
失敗したプロンプトも残す価値がある
例えば、
「ピエールを最強にして」
という最初の雑なプロンプト。
普通なら捨てる。
でも制作ログとして考えれば価値がある。
なぜダメだったのか。
どんな回答になったのか。
何を追加したら改善したのか。
そこまで記録すれば、
「完成したAI記事」
ではなく、
「AIをどう使って完成させたか」
の記事になる。
これが「AI制作ログ・研究記録」というカテゴリーの面白さだと思う。
ピエールを育てながら、プロンプトも育てる
今回のテーマは、
「ピエールを勇者並みに育てる」
だった。
しかし実際に育てているのは、ピエールだけではない。
プロンプトそのものも育てている。
最初は一行。
そこへ条件を追加する。
万能化を禁止。
弱点を残す。
成長を段階化。
理由を説明させる。
比較対象を設定する。
こうして少しずつ精度が上がっていく。
ゲームでキャラクターをレベルアップさせるのと、どこか似ている。
まとめ|「最強にして」から卒業するとAI考察は面白くなる
ピエールを人間の勇者並みに育てる。
最初は簡単なテーマに見えた。
AIへ、
「強くしてください」
と頼めば終わるからだ。
でも、それでは面白くなかった。
ピエールらしさを残す。
弱点も残す。
人間にはしない。
突然覚醒させない。
伝説の武器だけに頼らない。
そして5段階で少しずつ成長させる。
ここまで条件を決めると、
「最強キャラクターを作る」から「一人のキャラクターの成長を設計する」へ変わった。
これこそAIでIFを考える面白さなのかもしれない。
そして今回、もう一つ分かった。
良いAI記事を作るために必要なのは、AIがどれだけ賢いかだけではない。
こちらがどんな問いを作れるか。
その違いがかなり大きい。
ピエールを育てるプロンプトを作っていたはずなのに、気づけば私は、
「AIへどう指示すれば、自分の想像している世界に近づくのか」
を研究していた。
だからこの記録は、単なるドラクエ考察ではない。
AIと一緒に物語を作るための制作ログでもある。
次に同じプロンプトを使うときは、また条件を一つ変えてみたい。
ピエールの成長と同じように、プロンプトにもまだレベルアップの余地がありそうだ。


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